朝食を軽井沢で食べる
軽井沢に行ってきた。
新幹線だと東京から1時間の距離なので、7時前の新幹線に乗れば8時過ぎには軽井沢駅に着くことが出来る。
少し早起きするだけで、森の中で朝食が食べられるのだ。
旧軽井沢の森の中にある「涼の音」。静かで素晴らしいモーニングが食べられます。
今ならGoToの恩恵により、1泊2日の宿泊費と新幹線込みで1万6千円ほど(地域クーポン4千円付き)というお買い得価格で秋の週末を楽しんできた。
軽井沢は浅間山の裾野に広がっている。
JR軽井沢駅付近には旧軽井沢銀座のストリートや伝統的なホテルが点在していると共に、南側には西武グループの大規模開発によるゴルフ場にスキー場、アウトレットが広がっている。
中軽井沢方面に行くと人気の星野リゾートエリアがあるなど、地域全体の各所において観光開発が行われてきた。軽井沢町は長野県にあるが浅間山の北の群馬県側も北軽井沢と呼ばれるなど、強力な軽井沢ブランドによる観光地だ。
別荘地「軽井沢」
あるいは軽井沢は別荘地としての顔を持つ。
旧軽井沢に広がる別荘地にある「雲場池」。特に紅葉の時期はおすすめです。
今の軽井沢は明治時代の外国人避暑地に端を発し、その後政治家や財界人、文化人が別荘を持った。キリスト教の教会が数多いなど西洋文化が色濃い地域であると共に、古くからの別荘住民による「軽井沢憲章」により美しい景観が保たれている。
室生犀星の旧宅。苔庭が美しいです。入場料無料
カラマツの並木が美しい旧軽井沢近辺は特に一等地であり、土地建物含めると数億円レベルの豪邸が立ち並んでいた。
近頃はコロナ禍によるリモートワークにより、利便性が高い軽井沢の土地価格は上がっている。そもそも軽井沢町は長野県の中では最も土地価格が高い地域であり、他のリゾートエリアと比較しても群を抜いている。
おそらく①首都圏との交通の便。②適度な市街地とレジャー施設。③美しく残された自然環境。の3つのバランスを求める層にとっては軽井沢は最適なのだろう。
西武の大規模開発
軽井沢駅の南側は西武エリアだ。
駅前のアウトレット、4つのプリンスホテルと、ゴルフ場とスキー場。これらの土地はあまりにも広大だ。
プリンスホテルは旧家の土地を買い取った跡地であったり、その地域の開発の主だったりするわけで、立地が良い場所に建っていることが多い。
この軽井沢の開発も西武主導で行われた経緯があり、軽井沢は西武の重点地域であると共に、西武があらゆるところに入り込んでいる。
上記の各施設はもとより、走っているのは西武バスであるし、浅間山麓にある「鬼押出し園」はプリンスホテルの運営だ。
B級感あふれる施設だけど、ここからの風景は一見の価値があります。
そしてここまでアクセスのための「鬼押ハイウェー」がプリンスホテルが管理運営する有料道路だったりするわけで、前時代の政商的商売による開発規模には驚かされる。
とは言え、個人的には軽井沢駅前にある「軽井沢プリンスショッピングプラザ」などはただただっ広い場所にお店が並んでいるという印象しかなく、駅からのアクセスや回遊性などにおいてもなんだかなという感想を持った。バブルの香りが残るのだ。
秋も終わりの頃に訪れたので吹き抜ける風は冷たく、寒々としたその光景には夏の避暑地客が去ってしまった昔の冬の軽井沢を思い起こさせた。
星野リゾートの土地
一方で、今の流行を集めているのは星野エリアである。
中軽井沢の北側にある星野地区は、今をときめく星野リゾートの発祥地だ。
星野リゾートによる商業施設「ハルニテラス」。規模は大きくないが周辺の関連施設含めて人気です。
大人気旅館「星のや」を中心に、この「ハルニテラス」、日帰り温泉施設「トンボの湯」、ネイチャーツアー「ピッキオ」といった施設がある。
さらにブライダルに利用される「軽井沢高原教会」に「石の教会」とがある。
ジブリあるいはドラクエに出てきそうな「石の教会」。結婚式以外の時は無料で見学出来ます。
これらの施設は軽井沢の森の中に点在している。一回車を停めておけば、あとは歩いて各施設を周ることが出来る。敷地には自然がそのまま残り、白糸の滝から流れてきている湯川が通っている。
買い物や食事を楽しむことも出来るし、周辺を巡れば軽井沢文化だったり、季節ごとの自然を楽しむことも出来る。
観光の要素には「食事」「買い物」「宿泊」「温泉」「見学」「アクティビティ」「散策」とがあるが、これらを一括してパッケージング的に楽しむことが出来るのだ。
星野リゾートの本質がここにあると思うが、その地域の観光資源を多くの人が手軽に楽しめるように上手にパッケージングして人々を呼び込む。そしてそこで宿泊施設を運営して収益を得ている。
さらに星野リゾートは事業としては運営に徹し、宿泊施設の所有をしていない。所有は各施設ごとに異なっていたり、自社所有物件に関しては「星野リゾート・リート投資法人」といった不動産投資信託の形で行っています。
昔のその地域の地形を丸ごと変えてしまうような大規模な開発ではなく、今ある観光資源を活かしながら開発を行うというのが今っぽい。あるいはホテル・旅館としての非日常感だったり、ゲストに対してのホスピタリティ精神(いわゆる「お・も・て・な・し」)だったりするのかなと思った。
組織の違だと星野リゾートは「フラットな組織」といったところらしい。西武というと「トップダウンの組織」といった印象があるが、これも時代的な違いなのだろうか。
星野リゾート代表が語る「強い組織」の作り方。未来を担う人材はこうして育つ | Mugendai(無限大)
とは言え、今回泊まった西武の「浅間プリンスホテル」も良かった。個人的には非日常感や(過度の)ホスピタリティよりも静かに過ごせることを重視したいので、軽井沢の外れに位置し、静かで落ち着いた雰囲気が何よりも良かった。・
見た目は地味ながらも、部屋やロビーは上質だったし、雄大な浅間山を眺められるダイニングでの朝食は何よりも素晴らしかった。
大きな窓からは雄大な浅間山とゴルフ場の風景が広がっている「浅間プリンスホテル」です。
やはりプリンスホテルがある場所は眺望など良い場所にあり、これこそが大規模開発のなせる技なのではと思った。